大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

フランス王ジャン2世の肖像

アヴィニョンを中心に王侯や画家たちが盛んに交流していた頃に描かれたとされる作品。横顔からイタリア人の画家の影響があったのかもしれない。イタリアでは壁画や祭壇画に寄進者像の側面祈念像が描かれているし、ペトラルカがシモーネ・マルティーニに依頼したというラウラの肖像画についても知られている。1350年頃の作とすると、現存する最古の独立肖像画とされる。
肖像の上に書かれている Jehan Roy de france は14世紀のものとされるが字配りが悪く、絵と同時に書かれたか不明。また冠が描かれていないことから、ジャン2世(在位1350〜64)の即位前に描かれたものらしい。何度か補修されていて、17世紀に描かれた模写と比べると顔面の肉付けは変化しているが、目や鼻のデッサンは変わっていない。写実的人間描写が行われていたことを示している。衣服の部分は塗り直されている。14世紀に描かれ、17世紀の模写が残されている「教皇から二連画を贈られるジャン2世」との比較も行われている。

世界美術大全集10 ゴシック2 1350年代

フランス王ジャン2世の肖像
1350年頃 板 55.6×34.5cm
フランス パリ ルーヴル美術館